14 December 2020
先週、GRIDSERVE(グリッドサーブ)社が英国で初となる“EV専用のサービスステーション”をオープン。英国自動車業界、特に電気自動車(EV)の関係者の間では大きな話題となりました。
電源は100%再生可能エネルギー、36台のEVを同時に急速充電でき、待ち時間を快適に過ごせる工夫もなされています。
英国では(ハイブリッドではなく)バッテリーのみで駆動するEV (BEV)の販売台数が急激に伸び始めています。SMMT (英国自動車製造者販売者協会)の発表によると、2020年11月末現在、新車登録台数に占めるプラグインハイブリッド(PHEV)の割合は6.8% (昨年同月は 3.0%)であったのに対し、バッテリーのみのEV(BEV)の割合は9.1% (昨年同月は2.8%)と大きく伸びています。
このような流れが背景にあるとしても、今回のEV専用サービスステーションの開設は非常に画期的なもので、その普及を視野に、細部に至るまでさまざまな工夫がなされています。
充電器上の屋根には太陽光パネルが全面に設置され、英国初の政府補助金に頼らない事業として知られているソーラーファーム(約90km離れたところにあり、GRIDSERVE社が所有)からも送電されています。また天候や利用状況の変化にも対応できるよう、敷地内には大型蓄電池も備えています。
近年、英国を含む欧州ではクリーンエネルギーの活用をいかに増やしていくかかが非常に重視されており、この施設はその流れを反映しているといえるでしょう。加えて、施設内では大量の電力を消費するため、地域の低電圧配電網への負担を避けるための配慮もされています。
このステーションでのEV充電時間は、高速充電器の導入により20-30分程度ですが、ガソリン車への給油と比べるとまだ決して短い時間とはいえません。
そこで待ち時間が苦にならないよう、建物の中には、コワークスペースや打ち合わせ用の個室、子どもの遊び場、カフェ、本屋、簡易ジムなどを設置、ジムのエアロバイクを使うと発電し、建物へ給電できる仕組みにまでなっています。利用者は好みのスタイルで時間を有効活用することができるのです。
GRIDSERVE(グリッドサーブ)社とパートナーである日立キャピタル社は、今後5年間で同様のEV専用サービスステーションを英国内100か所に展開するとともに、EVのリース事業も開始すると発表しました。
画期的かつ斬新な印象が強いこの施設ですが、その存在が各地で当たり前になる日もそう遠くないのかもしれません。