19 May 2020
5月12日、英国政府は日本との自由貿易協定(FTA)交渉を近日中に開始すると発表しました。新型コロナの影響も考慮し、当面の間はビデオ会議で行われます。
英国政府は、日本とのFTAが成立すれば英国経済に15億ポンド(1,980億円)のメリットが生まれ、日英両国間の貿易取引額は152億ポンド増加すると試算。リズ・トラス国際貿易相は「繊維や衣料品メーカー、金融や専門サービス(*1)を提供する企業が最も恩恵を受けるだろう」と言及しました。
一方の日本側は、自動車関連製品を中心に日欧経済連携協定(EPA)と同等あるいはそれを上回る合意内容を目指すと思われます。
英国にとって自動車産業は82万3千人(*2)の雇用を支える基幹産業であり、英国政府はこれまで日系自動車メーカーの重要性に何度も言及してきました。
とはいえEU加盟国の自動車メーカーとの関係も重要なことから、EU―英国間の自動車分野の交渉の行方にも左右される可能性があると考えます。
また、同相は「日英貿易協定は、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)に繋がる重要なステップとなるだろう」とも述べています。
2017~2019年にかけ両国の首相・閣僚の相互訪問が続いた際、両国はすでに自由貿易協定を基本構想とすることに合意。
安倍首相も英国のCPTPPへの参加を歓迎すると表明していました。
自由貿易協定が成立すれば両国の関係性はますます密接となり、大きな経済効果を生む事になるでしょう。
今後の交渉の行方を注視したいと思います。
OBMでは、英国への事業展開や英国企業との協業をお考えの日本企業の皆様からのご相談を、常時承っております。
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注記
(*1)「専門サービス分野」(Professional Services)とは、法律、会計、広告、市場調査、コンサル、建築、エンジニアリング、人事などの専門分野をサポートする業種。
(*2) SMMT (自動車製造販売協会)発表の2018年のデータ。
* ポンド円換算レートは1ポンド=132円を適用。