16 December 2024
英国は2024年12月15日、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)の最初の新規加盟国となりました。CPTPPは、オーストラリアや日本を含む11カ国が加盟するアジア太平洋貿易協定で、中国など他国も加盟に関心を示しています。 英国は現在、この協定の下でブルネイ、チリ、日本、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの8加盟国と貿易を行うことができます。オーストラリアとの協定は12月24日に発効し、カナダとメキシコとは批准の60日後に発効する予定です。
英国外務・英連邦・開発省で行われたCPTPPレセプション (December 2024)
加盟のメリットは?
CPTPPへの加盟は、貿易障壁の削減や経済成長の増加などの利益が期待されています。長期的なGDPの増加は20億ポンドと控えめではありますが、加盟国が増えればさらに増加する可能性があります。英国はすでにCPTPP加盟国の大半と貿易協定を結んでおり、同地域との貿易額は全体として比較的小規模ではあります。とはいえ、英国政府はCPTPPに参加することで、金融サービスや製造業などの特定分野に恩恵をもたらし、賃金上昇にも繋がると見ています。
CPTPPはデジタル貿易を重視しており、データのローカライゼーション要件などの障壁を撤廃することでデータフローを円滑にしています。したがって、リモートサービスが容易になるなどより効率的なオペレーションが可能となるため、新規市場への進出がしやすくなるなど、英国企業に恩恵がもたらされるでしょう。特にサービス産業に強みを持つ英国にとっては非常に有益となります。
英国企業は、CPTPP市場において、市場アクセスの拡大、事務手続きの削減などの恩恵を受けることができるようになります。
弊社の見解
CPTPP加盟により、英国企業のアジア太平洋地域における新規市場参入や輸出入機会を増やすことになり、英国にとっては前向きな進展であると見ています。同地域における現在の地政学的懸念を考慮すると、CPTPP加盟国との関係強化は英国にとって極めて重要です。しかし、CPTPP参加による経済的利益は限定的であり、英国のEUとの貿易関係に取って代わるものではありません。
貿易協定の活用方法については、英国政府(商務貿易省)がガイドラインを作成しています。 例えば、日本と英国の間には、すでに日英CEPA(包括的経済連携協定)という貿易協定が発効していますが、どの貿易協定を利用すべきかについては、下記のリンクより英国政府のアドバイスが得られるようになっています。
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