09 April 2020
近年、日本企業の皆様からの英国テック企業への投資に関するお問い合わせが増えてきました。英国企業も日本企業からの投資により興味を示すようになっています。最新の英国テック業界に関する報告書 「Tech Nation 2020」によると、2019年における英国テック業界への投資額の伸びは、米国、中国、ドイツ、フランスも上回るペースです。その内容をデータとともにご紹介します。
英国テック業界へのVC投資額は過去最高・44%増
2019年の英国テック業界へのVC(ベンチャーキャピタル)投資は、前年比減となった米国や中国とは対照的に、過去最高の101億ポンド ( 1兆3,635億円)を記録、前年比44% 増となりました(図1)。
図 1: 2019年 国別テック業界へのVC投資額
Data from Tech Nation 2020; Dealroom 2020
興味深いのは、英国テック企業への投資の45%・49億ポンド(6,615億円)が米国やアジアからの投資(米国:24% 、アジア: 21%)であったことです。(2014年からの推移については図2参照)
図2 :北米、アジアから英国テック企業へのV C投資額の推移(2014-2019年)
Tech Nation 2020; Dealroom 2020
テック業界へのVC投資 欧州ではロンドンがトップに
2019年の欧州のテック業界への都市別VC投資ランキングをみると(図3)、ロンドンが首位、ケンブリッジもトップ10に入っています。また欧州の上位20都市のうち、5都市は英国の都市(ロンドン、ケンブリッジ、マンチェスター、ブリストル、オックスフォード)となっています。
ロンドンへのV C投資は突出しており、2019年はベルリン、ミュンヘン、パリの合計投資額をも上回る額でした。
図 3: 2014-2019年のテック企業へのVC投資額 欧州上位10都市
Tech Nation 2020; Dealroom 2020
VCにとっての英国の魅力では、成熟したテックエコシステムや為替レートの優位性に加え、国によるテック企業へのサポートシステムの充実が挙げられています。
Harwell (ハーウェル)への大規模投資も追い風
オックスフォード郊外にある英国最大規模の科学技術・イノベーションハブ 「ハーウェルキャンパス」
https://www.harwellcampus.com への大規模投資が発表されたことも、上記Tech Nation Report 2020の結果を象徴しています。ハーウェルキャンパスには、航空宇宙、エネルギー、ライフサイエンスなどのクラスターがあり、数多くの革新的技術を持つ企業の拠点となっています。今回カナダのBrookfield Asset Management社が投資への参加を決めたことで、2020年代半ばまでには、合計150万スクエアフィート(約1,400万平米)のオフィスやラボスペースへと拡張される予定です。
ハーウェル内の様々なクラスターでの日本企業・組織との技術交流やビジネス設立を支援して参りましたOBMは、今回のニュースを大変喜ばしくとらえています。
ブレグジットの影響をものともせず、欧州各国を上まわる過去最高のVC投資を獲得している英国のテック企業。そしてそれを下支えする英国内のビジネス環境への積極投資。日本企業の皆様にとっても大きなビジネスチャンスとしてご注目いただけたらと思います。
OBMでは、成長が期待される英国テック企業の具体的なご紹介や投資等に関する日本企業の皆様からのご相談を常時承っております。
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